立地別の目安レンジ(実勢の整理)
アパートメントホテルの収益指標は、エリア・客室タイプ・滞在客層・LOS(Length of Stay)で大きく振れます。通常のシティホテル・ビジネスホテルと比較すると、ADRは1泊単価ベースでは同水準〜やや低め、LOSは長く(平均3〜7泊、長期滞在型では14〜30泊)、結果としてOCCは安定的に高く維持されやすい構造です。FSの収益試算では、シーズナリティと客層ミックス(短期FIT・コーポレートロングステイ・インバウンドファミリー)を3パターンで分けて積み上げるのが標準アプローチです。
| エリア | OCC目安 | ADR傾向(円/泊) | RevPAR感覚 |
|---|---|---|---|
| 東京中心部(千代田・港・渋谷・新宿) | 80〜90% | 18,000〜35,000円 | シティクラスの上限を伺う水準 |
| 東京周辺部(江東・墨田・台東等) | 75〜85% | 13,000〜22,000円 | ビジネスクラス上位〜中位 |
| 大阪・京都中心部 | 75〜90% | 15,000〜28,000円 | インバウンド比率高、季節性大 |
| 福岡・札幌・名古屋 | 70〜85% | 11,000〜18,000円 | ビジネス・観光ミックス |
| 那覇・沖縄リゾート | 65〜85% | 13,000〜25,000円 | 季節性が極端、夏期繁忙 |
| 地方都市 | 60〜75% | 8,000〜13,000円 | ローカル需要中心、低季節性 |
客室タイプ別では、25〜35㎡のスタジオタイプが中心、40〜60㎡の1BR/2BRがファミリー・ロングステイ向け。広い客室ほどADR単価は上がるがOCCは下がりやすく、RevPAR(client room)とRevPAR(客室1室あたり)の両軸で評価が必要です。LOS別の影響は次節で詳述します。
LOS(滞在日数)とADR・OCC・RevPARの関係
アパホ特有の論点が「LOSが伸びるとADRは下がるがOCCが安定する」というトレードオフです。1泊単価のグロスADRと、ロングステイ割引適用後のNet ADRを分けて見ないと、見かけのADR低下を実態より悪く誤読してしまいます。月単位ロングステイ契約(30泊〜)はADRが通常の60〜70%水準まで下がる一方、OCCは90%超で安定し、人件費・清掃費・OTA手数料が圧縮されるため、GOPマージンではむしろプラスに働くケースが多くなります。
| LOS | Net ADR傾向 | OCCへの効果 | 運営コストへの効果 |
|---|---|---|---|
| 1〜3泊(FIT短期) | 定価(基準ADR) | 季節変動大 | 清掃・人件費比例増 |
| 4〜13泊(中期滞在) | 5〜15%割引 | 稼働安定化 | 清掃間引きでコスト圧縮 |
| 14〜29泊(長期滞在) | 15〜25%割引 | 埋まれば90%維持 | 清掃週1〜2回、人件費大幅圧縮 |
| 30泊以上(マンスリー) | 25〜40%割引 | 残室管理しやすい | 清掃ほぼゼロ、OTA手数料も削減 |
FS段階では、ADRはLOS別の加重平均ADRで算出し、OCCはLOSミックスを変数として感度分析を回します。長期滞在比率を50%・70%・90%の3シナリオで試算し、RevPARベースで意思決定するのが実務上の定石です。
よくある質問
アパホのOCCはどのくらい?
立地・運営により幅がありますが、長期滞在比率の高さで安定し、東京・大阪・京都の中心エリアでは80〜90%超を狙う物件もあります。地方都市は60〜75%が一般的目安。