結論 FSは7ステップ。立地分析(用途地域・条例)、市場分析(需要・競合)、客室・施設計画、収益試算(ADR×OCC×客室数)、開発コスト試算、出口価格(NOI÷キャップレート)、投資判断指標(IRR・Multiple)。3シナリオで組み、土地仕入れ判断に直結させます。

FS 7ステップ

アパートメントホテルFSは、土地仕入れ可否判断・スキーム決定・資金調達の3意思決定に直結する基礎資料です。所要期間は標準で6〜10週間、机上FS(3週間)→市場調査FS(追加3〜4週間)→詳細FS(追加2〜3週間)の3段階で精緻化します。机上段階で経済性が見えなければ早期に撤退判断するゲートを設けるのが実務の鉄則で、土地一次審査では概算IRR・坪単価レンジ・出口価格レンジの3項目で社内承認を取ります。詳細FS段階では設計事務所・運営会社・PM会社の3者見積を入れ込み、誤差±10%以内に収めるのが目安です。

  1. 立地分析:用途地域(13種類のうち、ホテル・旅館が原則建築できるのは第一種住居・第二種住居・準住居・近隣商業・商業・準工業)・容積率・条例(京都市の地域調和手続、新宿区中高層条例等)・周辺競合RevPAR
  2. 市場分析:JNTO訪日統計・観光庁宿泊旅行統計・STR/HotelBank・OTA価格モニタリング・Competitive Set 4〜6施設選定
  3. 客室・施設計画:客室数(30〜120室が主流レンジ)・タイプミックス(スタジオ60% / 1BR 30% / 2BR 10%等)・共用部・フロント運営方式
  4. 収益試算:ADR×OCC×客室数×365で売上、GOPマージン35〜45%、NOIマージン28〜38%を目安に積み上げ
  5. 開発コスト試算:土地・建築(坪単価120〜180万円)・FF&E(客室1室120〜250万円)・諸経費10〜15%・予備費5%
  6. 出口価格試算:想定NOI÷出口キャップレート(東京3.8〜4.5% / 地方政令市5.0〜5.8%)
  7. 投資判断指標:エクイティIRR(ハードル8〜12%)・Equity Multiple 1.5〜2.0x・Hold Period 5〜10年・Sensitivity分析

3シナリオの組み方

3シナリオは「振れ幅を機械的に揃える」のがコツです。基準シナリオを市場実勢の中央値に置き、保守は基準比でOCC▲10pt・ADR▲10%・コスト+10%・キャップレート+100bps、上振れは基準比でOCC+5pt・ADR+10%・コスト▲5%・キャップレート▲50bpsで揃えると、感度分析の解釈がブレません。融資審査ではDSCR1.3倍・LTV60〜70%を保守シナリオで満たすことが標準的要件で、出資者向けにはIRR・Equity Multipleを3シナリオすべて開示します。

項目保守基準上振れ
OCC基準▲10pt市場中央値(70〜85%)基準+5pt
ADR基準▲10%競合平均基準+10%
建築コスト坪単価基準+10%150万円基準▲5%
出口キャップレート基準+100bps4.2%(都心想定)基準▲50bps
エクイティIRR6〜8%10〜13%15%超
DSCR1.2〜1.3倍1.4〜1.6倍1.7倍超

意思決定ゲートと社内合意形成

FSは作るだけでなく、社内の意思決定ゲートを通すための合意形成資料でもあります。土地仕入れ意思決定では、IC(投資委員会)で「立地・スキーム・収益・コスト・出口・リスク」の6項目をワンスライドで説明できる構成にしておくと議論が早まります。設計事務所・運営会社・PM会社・金融機関の各ステークホルダーから事前に書面コメントを取り、FS本体の付属資料として綴じておけば、後段の手戻りを最小化できます。机上FS段階でNOIが目標水準の80%を下回るなら、土地価格交渉・規模縮小・スキーム変更(自社開発→事業用定期借地)を選択肢に上げます。

よくある質問

FSは何ステップで組みますか?

立地→市場→客室計画→収益試算→開発コスト→出口価格→投資判断指標の7ステップ。机上FS3週間→市場FS3〜4週間→詳細FS2〜3週間で精緻化し、3シナリオ(保守/基準/上振れ)でIRR・DSCR・LTVを評価します。

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