結論 ホテルチェーンの進出ピッチは「ブランド側の自己評価」のため、所有者は数値の前提(OCC・ADR想定、競合セット、Performance Test閾値)を批判的に検証してください。2026年都心新規ピッチではADR3.5万〜6.0万円、OCC75〜82%、RevPAR Premium110〜125%が標準想定です。

ピッチ資料の典型項目

外資系チェーンのピッチ資料は概ね30〜60ページ構成で、エリア分析、ブランドポジショニング、想定収益、HMA条件、所有者リターン試算の5パートからなります。想定収益のセクションでは、開業3年目(Stabilized Year)のADR・OCCがコミットメント風に提示されますが、これは「ブランド側のターゲット」であって保証ではありません。実例として、2025年に提示された都心アッパースケールの典型ピッチでは、ADR3.8万円・OCC78%・RevPAR2.96万円・GOP率42%・GOP1室あたり年間450万円という数値が並びますが、競合セットの選び方次第で15〜20%変動します。Pre-Opening費用は1室あたり80〜150万円、Technical Service Fee(設計監修料)は総工費の0.5〜1.0%、FF&E初期投資は1室350〜550万円が標準レンジです。

項目シティ系アッパースケールライフスタイル系セレクトサービス
想定ADR3.5-5.0万円2.8-4.5万円1.5-2.2万円
想定OCC75-82%72-80%82-88%
RevPAR Premium105-115%110-130%105-115%
ベースフィー売上比3%売上比2.5-3%売上比3-4%
インセンティブGOP比8-12%GOP比8-10%GOP比6-10%
Pre-Opening/室120-150万円100-130万円80-100万円
  • ターゲット都市・エリア(競合セットの構成)
  • 想定ADR・OCC・RevPAR(Stabilized Yearベース)
  • RevPAR Premium(標準ホテルとの差)
  • HMAフィー水準(ベース・インセンティブ・マーケティング)
  • 契約期間・Termination(20年+延長10年が標準)
  • Pre-Opening費用負担(1室80-150万円)
  • FF&Eリザーブ要求水準(売上比4-5%)
  • 所有者への期待数値(IRR・NOI)

所有者側の検証ポイント

ピッチ数値を鵜呑みにせず、5つの観点で逆算検証すべきです。第1にADR想定の市況整合性で、観光庁宿泊旅行統計・STR等の地域平均と比べ、ピッチ数値が15%以上上振れていれば根拠の追加開示を求めます。第2にRevPAR Premiumの実証データで、同ブランドの過去5年間の出店都市での実績(Premium100%未満になっている事例の有無)を確認します。第3にTermination条項で、Without Cause Terminationの違約金が残存契約期間のGOPフィーの50%超を要求するブランドは、所有者の出口柔軟性を著しく毀損します。第4にPerformance Testで、RevPAR Index95%未満かつGOP予算未達を2年連続で達成しなければCureできない設計が望ましく、これを「3年連続両方未達」と緩めるピッチは要交渉です。第5にFF&Eリザーブで、売上比4%は最低限、5%超を要求するブランドはキャッシュフロー圧迫要因です。

検証ポイント合格水準要交渉水準
ADR市況乖離±10%以内+15%超
Termination違約金残期間フィーの30%以下50%超
Performance Test2年連続両方未達3年連続両方未達
FF&Eリザーブ売上比4%売上比5%超
Royalty/マーケティング売上比1.5-2%売上比3%超
  • ADR・OCC想定の市況整合性(観光庁・STRデータと比較)
  • RevPAR Premiumの実証データ(過去出店都市での実績)
  • Termination条件の有利不利(違約金水準)
  • Performance Test閾値の妥当性
  • ブランドのRoyalty・マーケティング拠出(双方向の費用負担)

よくある質問

ホテルチェーンのピッチ資料に何が書かれている?

ターゲット都市、想定ADR/OCC、RevPAR Premium(105-130%程度)、HMAベースフィー2-3%・インセンティブフィー8-12%、契約期間20年+延長10年、Pre-Opening費用1室あたり80-150万円、所有者への期待数値(IRR目線8-12%)などが整理されています。

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