結論 2026年3月の客室稼働率は全体59.4%、4月第1次速報は59.7%です。ビジネスホテルは3月73.1%、4月74.3%と高い一方、簡易宿所は3月23.9%、4月23.3%にとどまります。宿泊需要の強弱は「ホテル市場全体」ではなく、施設タイプと立地で大きく分かれます。

延べ宿泊者数はどう動いたか?

2026年3月第2次速報の延べ宿泊者数は5,441万人泊、4月第1次速報は5,063万人泊です。3月・4月とも前年同月比では減少し、外国人延べ宿泊者数も4月は前年同月比-9.0%となりました。

3月第1次速報では全体5,546万人泊でしたが、5月29日に公表された第2次速報では5,441万人泊に修正されました。4月第1次速報は5,063万人泊で、前年同月比-4.6%。外国人延べ宿泊者数は4月1,573万人泊で、日本人延べ宿泊者数3,490万人泊と合わせて、全国の宿泊量は「訪日客数が伸びれば一律に増える」局面ではありません。特に4月は外国人延べ宿泊者数の前年同月比が-9.0%となり、都市部の高単価客層と地方・低価格帯の稼働差を分けて読む必要があります。

指標2026年3月前年同月比読み方
延べ宿泊者数 全体54,414,700人泊-2.0%第2次速報で下方修正。全国の宿泊量は弱含み
日本人延べ宿泊者数40,134,000人泊-1.4%国内需要が全体を押し下げる
外国人延べ宿泊者数14,280,700人泊-3.6%訪日外客数の増加が宿泊泊数へ直結していない
2026年4月 全体50,627,010人泊-4.6%第1次速報。6月30日の第2次速報で変動し得る
2026年4月 外国人15,730,940人泊-9.0%春需要でも泊数は前年割れ

施設タイプ別の稼働差

施設タイプ別では、ビジネスホテルとシティホテルが70%台、旅館と簡易宿所が低位です。4月もこの構図は変わらず、高稼働の施設と取り残される施設が同時に存在します。

3月第2次速報では、ビジネスホテル73.1%、シティホテル72.1%、リゾートホテル58.8%、旅館39.7%、簡易宿所23.9%。4月第1次速報では、ビジネスホテル74.3%、シティホテル72.5%、リゾートホテル54.5%、旅館40.3%、簡易宿所23.3%です。ビジネスホテルは高稼働でも前年同月差はマイナスで、稼働を上げるよりADR・直販比率・人件費を見直す段階です。簡易宿所は20%台前半が続き、立地と運営品質が弱い施設では撤退・転用・運営者変更を検討する水準です。

施設タイプ2026年3月稼働率前年同月差経営上の論点
全体59.4%-1.9ポイント全国平均だけでは判断しにくい
旅館39.7%+1.3ポイント高付加価値化・食・温泉・体験で単価改善
リゾートホテル58.8%+1.4ポイント季節性と航空需要の影響が大きい
ビジネスホテル73.1%-1.7ポイント稼働ではなくADRと直販比率が焦点
シティホテル72.1%-1.9ポイント料飲・宴会・高単価客層で差が出る
簡易宿所23.9%-5.4ポイント供給過多・低単価・運営品質の課題が出やすい
2026年4月 全体59.7%-1.9ポイント第1次速報。ビジネス74.3%、簡易宿所23.3%

運営改善では何を見るか?

稼働率だけでは収益は見えません。ADR、RevPAR、清掃費、人件費、OTA手数料まで含めて、稼働を利益に変換できているかを確認します。

収益管理の実務では、OCC・ADR・RevPARの3指標に加えてGOP率(40-45%が標準)、TRevPAR(F&B含む総売上÷可能客室数)、人件費比率(売上比25-30%が目安)、OTA手数料比率(売上比8-12%)を月次でモニタリングします。例えばビジネスホテルが稼働74%を維持していても、ADRが市場平均比-10%、OTA比率が60%超ならRevPARはOCC65%の競合に劣後する可能性があります。シティホテルは宿泊以外のF&B・宴会収益が売上の35-50%を占めるため、レストラン外販比率や宴会平均単価の四半期推移が重要指標。旅館は1泊2食の食材費が売上の25-30%を占めるため、食材原価率と人件費を吸収できる販売単価(平均3.5-5万円/室)が損益分岐点。簡易宿所は稼働24%では運営委託費・清掃費を回収できないケースが多く、用途転換(賃貸住宅、サービスアパート、シェアハウス)、減損処理、運営者切替の判断局面です。

施設タイプ注視KPI意思決定への翻訳
ビジネスホテルADR、直販比率レベマネ・チャネル戦略見直し
シティホテルTRevPAR、F&B粗利率F&B・宴会の収益再設計
リゾート季節別ADR、長期滞在率シーズン別販売設計
旅館食材原価率、平均販売単価食事プラン・コース見直し
簡易宿所固定費回収可否撤退・転用・運営切替
  • ビジネスホテルは稼働率74%台でも、価格を上げられていないなら収益改善余地がある。
  • シティホテルは宿泊だけでなく、朝食・宴会・バー・ラウンジの粗利を見る。
  • 旅館は稼働率より、食材費・人件費を吸収できる販売単価を設計する。
  • 簡易宿所は稼働率23%台を前提に、撤退・用途転換・運営委託変更も検討対象になる。

出典・一次情報

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