結論 アパホ収益は客室売上中心で料飲は限定的、長期滞在比率がOCC安定をもたらし運営費が通常ホテルより軽い、ただしFF&E更新サイクルが重い。立地・運営効率でGOPマージンが15〜35%の幅で振れます。

収益構造の特徴

アパートメントホテルの収益構造は、客室売上比率の高さ・運営費の軽さ・FF&Eリザーブの重さの3点で通常ホテルと差別化されます。USALI(Uniform System of Accounts for the Lodging Industry)準拠のP/Lで見ると、Rooms Department売上が総売上の90〜97%、F&B売上はゼロ〜5%(朝食ベンダー手数料・自販機等)、Other Operatedも3%程度の構造になります。GOPマージンは立地・運営効率・LOSミックスで15〜45%とレンジが広く、長期滞在比率70%以上で省人化が進む物件では35〜45%、短期FIT中心・フルサービス型では15〜25%が実勢レンジです。NOIマージン(GOPから固定費・運営フィー控除後)は28〜38%が標準目安となります。

USALI区分売上構成比主なコストマージン目安
Rooms(客室)90〜97%清掃・予約手数料・人件費Departmental Profit 65〜80%
F&B0〜5%食材・人件費限定的または委託
Other Operated1〜3%洗濯・駐車場・自販30〜60%
Total Revenue100%GOPマージン15〜45%
Total NOI固定費・運営フィー控除後28〜38%
  • 客室売上が90%以上(料飲は限定的、朝食ベンダー・シェアキッチン併設のみ)
  • 長期滞在比率でOCC安定(都心優良物件で85%超を狙う)
  • 清掃頻度が低くハウスキーピング費が軽い(売上比5〜8%、毎日清掃の12〜15%から大幅圧縮)
  • フロント運用が無人または最小限、人件費は売上の8〜15%(フルサービス20〜25%対比で大幅減)
  • FF&E更新サイクルは5〜7年、リザーブを売上の3〜4%積立必須
  • GOPマージン15〜45%、NOIマージン28〜38%(立地・運営・LOSミックスで振れ)

客室タイプミックス

客室タイプミックスはターゲットゲストと収益性を直結させる設計変数です。スタジオ中心の小規模・高効率型はビジネス出張・短中期インバウンドFITに、1BR/2BR中心の中規模型は駐在員・観光ファミリー・コーポレートロングステイに適合します。一般的なアパートメントホテルではスタジオ60%・1BR 30%・2BR 10%程度のミックスが標準で、ファミリー型ブランド(MIMARU等)はスタジオ20%・1BR 40%・2BR 40%とファミリー客室を厚めに振ります。客室タイプごとのADR・LOS・OCCを別々に試算し、加重平均でRevPARを算出するのがFS実務の定石です。

客室タイプ面積目安ターゲット平均LOSADR傾向(都内)
スタジオ20〜28㎡単身ビジネス・短中期FIT3〜7泊15,000〜25,000円
1BR28〜40㎡カップル・駐在員7〜30泊22,000〜38,000円
2BR40〜60㎡家族・観光グループ5〜21泊30,000〜55,000円
長期滞在広め50〜80㎡マンスリー駐在員30泊以上純額25,000〜40,000円

出口キャップレートとNOI評価

収益構造はそのまま出口価格を規定します。NOI×キャップレートで一棟売却価格が決まる構造で、東京・大阪・京都中心部の優良アパホで3.8〜4.5%、地方政令市で5.0〜5.8%、地方中堅都市で5.8〜7.0%が2026年5月時点の市況キャップレート目安です。FS段階では取得時キャップレートに50〜100bps上乗せした出口キャップレートでNOI×Hold期間後の売却価格を試算し、IRR・Equity Multipleを評価します。LOSミックスを変更してGOPマージンを5pt改善できれば、同キャップレートで売却価格が15〜20%上昇し、Equity IRRに3〜5ptの上振れ効果が出ます。逆にHMA契約条件・FF&E更新計画が脆弱だとキャップレートが拡大して売却価格が下落するため、運営オペレーションと出口価値は表裏一体で設計すべきです。

よくある質問

アパホの収益構造の特徴は?

客室売上が90〜97%中心(料飲限定的)、長期滞在比率でOCC安定、人件費売上比8〜15%・清掃費5〜8%と通常ホテル比で軽い、FF&Eリザーブが売上比3〜4%で重い、という構造。GOPマージン15〜45%、NOIマージン28〜38%のレンジで振れます。

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