5月までの主要市場はどう動いたか?
韓国・台湾が大きく、米国・欧州・東南アジアの一部が伸び、中国が大きく減っています。需要の量だけでなく、泊数・単価・予約経路の違いが収益差になります。
2026年5月の総数は3,559,900人で、前年同月比-3.6%。1〜5月累計は17,935,988人です。月別では4月3,692,200人、5月3,559,900人と高水準ですが、国別では濃淡が大きく、韓国・台湾・米国が量を支える一方、中国は前年同月比-60.4%です。これは単なる一時的な国別ブレではなく、ホテル側の販売チャネル、言語対応、朝食・館内消費、客室仕様の前提を変える材料です。
| 国・地域 | 2026年5月 | 前年同月比 | 2026年1〜5月累計 | 宿泊施設側の見方 |
|---|---|---|---|---|
| 韓国 | 951,300人 | +15.2% | 4,887,982人 | 短泊・高頻度。稼働の下支え |
| 台湾 | 616,800人 | +14.6% | 3,301,817人 | 地方空港・地方観光地への波及余地 |
| 中国 | 313,000人 | -60.4% | 1,717,416人 | 団体・買物依存の前提を見直す |
| 米国 | 333,700人 | +7.0% | 1,467,173人 | 高単価・長距離市場として重視 |
| 香港 | 207,900人 | +7.7% | 1,084,159人 | 繁体字・決済・食対応で取り込みやすい |
| マレーシア | 72,200人 | +39.6% | 341,424人 | 休暇時期と宗教配慮を価格カレンダーに反映 |
| 英国 | 55,200人 | +6.0% | 250,482人 | 高単価・長距離市場 |
| ドイツ | 50,200人 | +18.8% | 197,501人 | 欧州周遊・長泊需要を見たい |
中国減少をどう扱うか?
中国市場の回復待ちだけで計画を置くのは危険です。短期では台湾・韓国・米国・東南アジア・欧州を組み合わせ、特定市場依存を下げる方が現実的です。
中国客が2019年比60%程度に低迷する状況は、地政学・国内経済・パスポート所有率(中国14%、台湾60%、韓国90%超)等の構造要因が複合的に効いており、短期回復は期待しにくい状況です。中国団体プレフィット型に運営設計された物件(大型バス動線、大宴会場、免税店併設、客室30〜40m²+ツイン中心、朝食ビュッフェ大規模)は、客層転換に伴う改装投資が必要になります。具体的には、(1)バス動線を縮小し送迎マイクロバス化、(2)宴会場をMICE・ウェディング対応に転換、(3)免税店をブランドショップ・カフェ化、(4)客室を欧米長期滞在向けにキング+ソファ仕様化、(5)朝食を質重視のセミビュッフェ化、といった改装パッケージが典型で、200室規模で4〜8億円(1室200-400万円)の投資が目安です。改装による客層転換でADR+20〜30%・GOP+30〜40%が現実的なリターンレンジです。
- 中国団体前提の大型客室・バス動線・免税売店設計は再点検する。
- 台湾・香港向けには繁体字、決済、食の対応を強化する。
- 米国・欧州向けには客室面積、朝食、長泊導線、コンシェルジュ品質を重視する。
- 東南アジア向けには祝日・スクールホリデー・宗教配慮を価格カレンダーに反映する。
投資・開発への示唆
開発判断では、訪日客総数より「どの国の需要が、その立地に、どの価格帯で泊まるか」を見るべきです。
新規開発のフィージビリティ・スタディ(FS)では、訪日客の国別構成を半径5kmの競合セット平均だけで置かず、対象立地の過去客層、空港・鉄道動線、既存ホテルの販売チャネル、PMSで確認できる宿泊者属性を重ねます。京都駅徒歩圏なら欧米豪と台湾・香港、福岡博多駅徒歩圏なら韓国・台湾と東南アジア、新千歳空港圏のリゾートなら豪州・台湾など、立地ごとに厚い市場は変わります。ADRやOCCの仮置きは、観光庁統計だけではなく、REIT月次、有料ベンチマーク、運営会社の実績、周辺OTA表示価格で検証してからFSに入れるのが安全です。
| 立地タイプ | 合いやすい市場 | 商品設計 |
|---|---|---|
| 都心駅近 | 韓国・台湾・香港・米国 | 短泊効率と高ADRの両立 |
| 地方空港圏 | 台湾・韓国・東南アジア | レンタカー、周遊、地域飲食との連携 |
| 高級旅館・リゾート | 米国・欧州・豪州 | 滞在価値、食、体験、送迎 |
| 簡易宿所・低価格帯 | 国籍横断の価格感応需要 | 稼働だけでなく清掃・人件費を厳格管理 |